魅せられて


私は何気なく
メールを高梨に見せた


『まだ怒っていますか?』


諸橋のメールを読んだ高梨が
幸せそうに微笑む


私以上に嬉しそうな
表情をして


「愛されてるな」


私は携帯を受け取り
ウエディングドレスを纏った
花嫁のような微笑を
浮かべた


そして高梨の携帯が鳴り
着信名を確認した高梨が
電話を受けながら
カウンター越しに飲み代を
マスターに渡し


カチンカチンと鳴らす
ライターと煙草を持って
席を外す


奥様からの
電話なのだろう


低音の酒焼けした
子宮を刺激する声で
微かな返事をしながら


店を出ていった


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