魅せられて


女として
最初から負けを認め
卑屈になりながら
勝負するなんて


馬鹿馬鹿しいわね


一途に男を愛した
無駄な時間も
私には充実した日々だったもの


”このままでいいの?”


戸惑う私の選んだ答え


”さようなら”


優美な悪女になど
なる気はないけれど


もう一度
女性として
輝いてみたい


財布の中から
女友達に連れて行って貰った
お洒落なBARの名刺を探し


通り過ぎるタクシーへ
手を上げていた


< 5 / 116 >

この作品をシェア

pagetop