魅せられて
第六章誘導


BARの扉を開けた時
違和感があった


一歩 店に足を踏み入れ
意外にも簡単な程
違和感の原因に
気付く


引地の隣り
女性の姿が見えたからだ


私が座っていた席


複雑な心境だけれど
私の席ではない


空いている席は
7脚ある席の両側


マスターに呼ばれるまま
直角に折れた
カウンター席の方へ
向かう


座り慣れない席


横に座っていた
常連客に軽く挨拶を交わし
お酒を注文して
見慣れない角度から
カウンターの中を眺めていると
視界の端に高梨の姿が映った


ひとり常連客を挟んだ
斜め前の席


間近で見る高梨に
胸が高鳴る


あれ程 私の存在を
無視していた癖に
私より先に視線を送るなんて
反則に近いわ


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