その指に触れて
2.素晴らしい迷案
『……っあ、道彦さんっ』

『好きじゃねえ。お前のことなんて好きじゃねえっ……』


ずるずるずる。


『────あっ』


男が女の体に覆いかぶさる。


……と思ったら、ビールを飲んでいる俳優の姿に切り替わった。


「いいとこでCMにすんなよっ!」


あたしはこれからが見たかったんだよっ!


ずるずるずるとオレンジジュースを吸っているストローから口を放した。


くっそう。もっとがっつりやる昼ドラはないのか。


夏休み。


やることがない暇人のあたしは、平日は大好きな昼ドラを見る毎日。


夏休みもあと一週間。宿題もとっくに終わらせていた。


部活もやってないし。ていうか、家庭部だから、週一で学校に行けば終わりだし。


こんな熱い時に体なんか動かしたくない。


運動部の人、よくやってるよなあ。


軽く尊敬する。


「う~ん」


オレンジジュースが入っていたコップを床に置いて、あたしは寝転んだ。


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