MYG倶楽部 〜まるで夢のような学校生活のために〜
「傷―――何言って―――」


「ひとまずあれだ、俺達は何の話をしていたんだ!?」


「へ?」


「もう解らないんだ!!俺はどうすればいいんだ!!??」


「え、いや、そう言われても困るんだけど……」


あたしはただ、窓越しに1-B教室からお前が出て来るのが見えたから、きっと大志が言ってた『仕事』に行くんだろうなと思って、それで一言くらい話しておこうかなって考えて―――



頭の中を整理しながら、自分が突如生徒玄関に現れた理由を説明する由奈。


「だから急いで玄関まで来てみたら、傷と蔆哉が話してて―――」


「そのまま話の内容を盗み聞きして、突然乱入して来たという訳か」


不満げな顔で割り込んだ蔆哉に、由奈がむっとして言い返す。


「盗み聞きじゃない、立ち聞きだ!!あれだホラ、傷まだかなー、早くこっち来ないかなー、と思って待ってたらお前らの会話が偶然、そう偶然聞こえて来ただけだ!!!!!」


部長、そーゆーのを屁理屈と言う。


「てか部長?窓からB組教室が見えたって、一体どこにいたんだ?」


一年生の教室があるのは、王生中の二つある校舎のうち北側、教室棟の二階だ。


三年生の教室は同じく教室棟の四階なので、由奈が大人しく自分のクラスで教師の話を聞いていたとしたら、物理的に1-B教室を窓から見るのは不可能だ。


「ま、アンタが静かにつっまんねぇ教師の話を聞いてるなんざ、これっぽっちも想像出来ねぇけどな―」


「おぅおぅ言ってくれるね―浅野傷く―ん?」


由奈がいつも通りのふてぶてしい笑顔で傷を小突く。



―――やっぱり、この顔の方がいい。


怯えている由奈など、我々MYG倶楽部の部長には相応しくないのだ。


「え−っと、なんか適当にまとめようとしてるけど傷、ボクとの話を覚えているのかな?」


「…………………………………………………全く。」

思い出したぁ−、マジギレした理由−。

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