この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「ゲッ! 赤毛さん、なんで居るの?」

「ん? ちょっと眠くてさ~ベット借りてた」

「なっ、おばあちゃんも赤毛さんが居るなら居るって言ってよ~」

「おや? 言ってなかったっけ?」

「言ってないない!」


ひとりで焦りまくってる私を微笑みながら見つめてたおばあちゃんが何を思ったか、急に立ち上がると「コーヒータイムだから喫茶店行ってくる」って身支度を始めた。


そして私の耳元に口を近づけるとニヤリと笑いながら言う。


「あのね、あの子、今フリーだから誘惑しちゃいなさい。なんならベット使ってもいいからさ」

「グッ……」


おばあちゃんは気付いてない。自分の声が普段の声と変わりなくデカかったことに……


おばあちゃんが医務室を出て行くと私と赤毛さんは顔を見合わせ苦笑い。


「まったく……困ったばぁさんだ」

「……だね」


ちょっびり気まずい。


「昨日は、悪かったな」

「いいの。気にしないで……」

「沢村部長と話したのか?」

「ちよっとだけね」


少しの沈黙の後、赤毛さんは暗い顔をして私に頭を下げた。


「ごめん。アンタが傷つくの分かってて、沢村部長のこと言った。アンタが好きだから……」

「赤毛さん……」

「今日、仕事終わったら飲みに行かないか?」


それは、いつもの強引な赤毛さんとはまったく違っていて、弱々しい声だった。


「……いいよ」


この時、私は既に決めてたのかもしれない。


銀との別れを――


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