この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

彼女を見てるだけで、いかに自分がちっぽけで女として未熟なのかを思い知らされる。


悔しかった。悔しくて、悔しくて、どうにかなりそうだった。


私は、あんな人と張り合おうとしてたんだ。でも、銀を諦めること出来ない。


彼女から視線を逸らし、必死で気持ちを落ち着かせようとする。


忘れたい。怜香さんのこと忘れたい。


「ねぇ、橋倉さん、今夜、付き合ってくれる?」

「えっ?」

「飲みたい気分なの……いいでしょ?」


橋倉さんは私の気持ちを察した様にコクリと頷いた。


「じゃあ『エデンの園』行きたいな。いい?」

「えっ、いいけど、あんなとこでいいの?」

「この前、凄く楽しかったから」

「うん。分かった」


お店に着くまで橋倉さんは銀のことも、怜香さんのことも話題にはしなかった。


それが、凄くありがたかった。




「ただいま~」


気持ちを切り替え、いつもより元気に『エデンの園』の扉を開ける。


「あ、ミーメちゃん。お帰り」

「えっ? 横田さん?」


珍しく横田さんが飲みに来てた。


「どうしたんですか? 珍しいですね」


そう言いながら横田さんの横に座り、橋倉さんに手招きすると横田さんが不思議そうに橋倉さんを眺め「お友達?」って聞いてくる。


「会社でお世話になってる人なんですよ」

「へぇ~そう」


そこから3人で結構飲んだ。すると、酔っ払った橋倉さんが何を思ったか、銀の話しを始めたんだ…


「あのですね~神埼さんは今、ロンリーハートなんですよ~。彼氏の部長に女が居たんだなぁ~それに子供まで……酷い話しですよねぇ~ウップ」


ヤバ……横田さんの顔が引きつってる。


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