悪魔からの逃亡~愛された証と共に~
彼氏がいるのに元カレと…

純白のウェディングドレスを身に纏った私は、本日のもう一人の主役である和馬さんを待っていた。


花嫁はこの上ない幸せで満ち溢れているはずなのに、私は心に住み着いた存在をかき消すことが出来ずにいる。

一時は婚約までした、あの彼を……。



庭園に咲き乱れる色とりどりの花を眺めながら、もう二度と会うことのない彼を想う。


忘れようとしても、ずっと忘れられなかった。

二人の気持ちは確かなのに。
それでも、両親の会社が倒産した彼は、私を巻き込みたくないと別れを告げた。

そして両親からも別れるよう説得され、周囲に言われるがまま、優しい和馬さんの手を取ってしまった。


私は弱かったんだ。

彼がどんな気持ちで別れを切り出したのか、……考えれば分かったはずなのに。
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