かけぬける青空は、きっと君とつながっている
むしろ“本当の暗闇”という言葉のほうに気を取られているところがあって、そちらのほうが、あの夜においては、間宮さんが伝えたいことのメインだったようにさえ思っている。
けれど、間宮さんにも釘を刺されたように、あたしたちは、民宿の人間とお客さん、という関係であることを忘れてはならない。
それはあたしも常々思ってきたことで、間宮さんの人となりやトラウマの一部を徐々に知ってきた今でも、間宮さんが話してもいいと思ったときに聞こう、そういう考えでいる。
間宮さんはいずれ、民宿を出ていく。
そして、あたしも。
夏はもう終わりなのだ。
耳をつんざくようなセミの声が、だんだんと静かになっていくように、夏、と呼ばれる季節が過ぎていけば、間宮さんとあたしもまた、それぞれのいるべき場所へと戻るだけだ。
タイムリミットは近そうなのだけれど、それならそれでも構わない、と思う。
とどのつまり、あたしは怖い。
間宮さんの気持ちを尊重しているように思えるこれらの考えは、けしてそうではなく、ただ単に、あたしに間宮さんの背負っているものを知りたいと思う勇気がないから、聞けない、というか、聞かないだけなのだ。
これではまた、前のように「命の無駄使い」と言われてもおかしくないかもしれない。