かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
大人には、いろいろとある。

香ちゃん自身は、両親が離婚に至った詳しい経緯は知らないそうなのだけれど、お母さんや、同居している祖父母が全く話したがらないことから、かなり複雑な理由で別れたようだ、ということは、香ちゃんなりに感じているそうだ。

「菜月ちゃんや間宮さんにも、何か言うかもしれないから、ごめんね」と先に言われていて、ああ、こういうことか……と、あたしは思った。


「全部、俺の責任で……」

「当たり前よっ。まだ17歳の娘を1日中連れ回しておいて、何も言われないと思うの!? 香とは、今後一切、会わないでちょうだい」

「お母さん……っ!」


ハルの言葉を遮り、香ちゃんのお母さんはそう言い放ち、すぐさま、香ちゃんは声を荒げた。

その一部始終を見守ることしかできないあたしたちは、ぎゅっと唇を噛みしめるだけで、ハルの味方にも、香ちゃんの味方にもなってはあげられないことが、歯痒くてならない。


というのも、誰に何を言われても、されても、間宮さんとあたしは何も口出しをしないでほしい、というのが、ハルからの頼みだったのだ。

ハルは、全部を引き受けるつもりでいる……。
 
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