かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
ハルとあたしはハッと息をのみ、間宮さんはあたしたちをきつく見下ろす。

寝起きだったらしく、ボサボサの髪と少し腫れぼったい目が昨日の印象よりいくぶん幼く見せるものの、怖いものは怖い。

ちょうど潮風の間のまん前の廊下を掃除機がけしていたところだったから、部屋の中まで音が響いて起こしてしまったらしい。

すると。


「……す、すみません、間宮さん。お休みのところを起こしてしまーー」

「あんた、何様?」

「は? お前こそ何様だよ」


あたしの言葉を遮り、ハルが低く唸った。

間宮さんは一気に目を鋭くさせるとケンカを売ってきたハルをギロリと睨みつけ、3人の間の空気が一瞬にして凍る。

あたしは、どうしたらいいか分からずおどおどするだけで、そうしていると、ハルの怒りの矛先は今度はあたしに向いた。


「菜月もだぞ。いくら客だろうと、この民宿をバカにするような奴にヘラヘラ謝るな」

「……。……ハ、ハル?」


やっとのことで絞り出せた声は、ひどく弱々しく、かすれたものだった。

ハルは「やってらんねぇ!」と、そのまま怒りにまかせて階段を踏み鳴らして出て行ってしまって、残された間宮さんとあたしの間には、気まずい空気が鎮座する。
 
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