かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
3月11日の地震と津波が『東日本大震災』と呼ばれはじめた頃、家や建物のがれきや車、土砂などでふさがっていた道路が、ほんの少しずつ通れるようになってくると、俺はいよいよ、仲間たちの安否確認に乗り出していった。

今日、訪ねた避難所は、仲間の1人の家がある地域の避難所で、この地域の避難所の1つとして指定されている小学校だ。


小学校の校舎全体に避難者はいるが、やはり、一番多く人が集まっているのは体育館だった。

まずはそこから探してみよう、と思い、ちょうど体育館から出てきた人に声をかけると、その人は、後ろを指差し、こう言う。


「それなら、入り口のところに貼ってある紙に名前があるから、そこから探しくれる?」

「はい、ありがとうございます」

「そこに書かれているのは全員じゃないから、もっと探すなら、教室の前にも同じように紙が貼ってあるはずだから、探してみて」

「ご丁寧にありがとうございました」


頭を下げると、その人は足早にどこかへ歩いていき、もしかしたら、俺と同じように、家族や友人や恋人など、大切な人を探しに行ったのかもしれない、その背中に、そう思った。

そういう人は、日増しに増えていく。
 
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