かけぬける青空は、きっと君とつながっている
けれど、ひとたび学校にさえ来てしまえば、こうして友だちと会え、楽しいひとときを感じられるのだから、憂鬱だけれど、いいなと思う。
あたしが向かう2-Aの教室は、階段を上がって右に折れた突き当たりに位置している。
後ろの扉から中に入り、クラスメイトに「おはよー」とあいさつをしながら、自分の席に向かいつつ、明梨の姿をきょろきょろと探す。
そうすると、見慣れた後ろ姿を発見して、背後からそーっと近づいて驚かせよう、と目論んだあたしは、声をかけるのと同時に抱きついた。
「ひゃあ……っ!! な、なによ、菜月じゃん!」
「ふふっ。おはよー、明梨」
夏休み中は、メールのやり取りだけだったし、声を聞くのも、終業式のあと、途中まで一緒の帰り道で「じゃあ、バイバイ」と言い合ったとき以来だから、1ヶ月と少しぶりだ。
普段、あまりそういうことはしないあたしも、嬉しさや懐かしさでテンションが上がった。
「元気そうだね、菜月。まあまあ、あんなに白かったのに、すっかり日焼けしちゃって。いい夏休みを過ごせたっぽいじゃん?」
「うん。明梨も元気そう!」
なんだかお母さんみたいな口調で、あたしの日焼けした肌をつんつんとつつく明梨と、席に向かいながら笑い合う。