僕が男になった理由



 会計をすぐに済ませた冬麻が脱兎の如く飛んできた。



 「琉依、今付けるね?」


 「ハイハイ」



 冬麻のすでに付けていたネックレスはくっきり浮いた鎖骨の間で綺麗に輝いていた。



 「琉依こっち向いて」


 「ん」



 正面から付ける冬麻の鎖骨の辺りからはほのかにムスクの様な香りがした。



 「付いた」


 「おう」



 冬麻が僕の首に付けたイルカが…すごく綺麗で可愛く見えた。



 「琉依…絶対…外さないでね…」


 「わかった…外さない」


 「良かった」



 冬麻の顔は少し…寂しげだけど嬉しそうな笑顔だったんだ。



 お互い同じ問題を抱えてたからわかるだけだが。











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