僕が男になった理由



 「冬麻、裸足じゃ風邪ひくだろ」


 「嬉しいな〜!琉依が届けてくれるなんて!」


 「早く履きな」


 「ふふっ…は〜い」



 先程までの無表情が嘘の様な可愛い無垢な笑顔を僕に向けて館内履きに足を通す冬麻。



 「…あのいつも無表情の冬麻くんが笑ってる」
 「しかも小堀先輩とお互い呼び捨てだったよね」
 「…あんな冬麻くん初めてみたんだけど」



 冬麻が異空間に居着かない理由はあの愚民か。



 「琉依、終わったらすぐ戻るから待ってて」


 「…冬麻…」


 「琉依、ぎゅってしたいんだけど」


 「…どうぞ」


 「頑張ってくるね」











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