僕が男になった理由



 そんなやせ我慢をしている時だった。



 混雑した改札口の向こうから走って向かって駆け寄る姿が見えた。



 遅い。



 待ち合わせから40分も遅れて来るとは。



 「琉依さん…すいません遅くなりました」


 「大丈夫です」


 「仕事…なかなかあがれなくて…」


 「取り敢えず息を整えてください、話しはそれからで」


 「はい…」



 黒のベルベットコートに薄紫のシャツ。アンティーク調のループタイに白いスラックス…デニム地の小さめトートバッグに茶の革靴…。



 いかにも清潔感のある綺麗目コーデってヤツか。



 妙に気合いの入った服装をしてるものだ。



 「もう大丈夫です、琉依さん行きましょう」


 「はい」











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