【完】ヒミツの恋を君と。
いつから、桃佳に特別な感情を抱くようになったのかは分からない。


初めて会ったあの始業式から3ヶ月。

気付けば、毎日、朝も放課後もこいつが近くにいた。







「帰したくない」



腕の中で急にそう呟いたのは桃佳で、意味が分からず、少し体を離してその顔を覗き込めば、泣き顔のまま俺に視線を合わせてる。





「祐樹先輩のいる家に晴を帰したくない」


「うちに来るまでの時間、家に帰る予定だったんでしょ?」涙を手で拭いながら、強い口調でそう言った桃佳は、俺の手を握って引っ張りながら駅に向かって歩いていく。





意思を感じる、背筋を伸ばした小さな背中。

そして小さな手は俺の手を強く握り締めてる。




その小さな体は、ふとしたことで簡単に壊れてしまいそうなのに。


桃佳は出会ってからたった3ヶ月の間に、こんな風に、俺に小さな温もりをいくつもくれた。



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