好きって言うまで離さねぇ。



私は昨日、冬哉が『好きだ』って自覚したわけで。


いくら結婚しろって言われてる仲でも……目も合わせてくれないと不安になる。


私の気持ちは冬哉によって簡単に動いてしまうんだ。



「……それを俺に聞くか?」


ちょっと呆れたような冬哉の声。



───え……?


聞いちゃダメなの?



「………かい」


心なしか照れた様子の冬哉が言葉を発した。


でも、その声は消え入りそうなくらい小さくて。



何を言ってるか聞こえない。


それに電車の音だって大きくて、かき消されてる。



「……なんて言ったの?」



< 158 / 359 >

この作品をシェア

pagetop