部長とあたしの10日間
土曜 16:00
甥…。
なんだ、親戚なのか。
ホッとしつつ、頭の中で良からぬ妄想をしていたことを反省するあたし。


「不肖の、な」


部長は後藤さんの指を払いながら迷惑そうに付け足した。


言われてみれば似てなくもないか。
王子様みたいな後藤さんと、俺様、もとい王様みたいな小泉部長。
二人ともタイプは違うけど端正な顔してるし、背高いし、賢いし。
全く、女子の理想がぎゅっと詰まったDNAだわ。


「…全然知りませんでした。
お二人が親戚だなんて」


社交的な後藤さんと寡黙な部長は対照的だし、社内で一緒にいるとこなんて見かけたこともなかった。


「あまり公表してないからね。
入社のときも、既に出世コースに乗ってた叔父貴の名前を出して採用されるのはごめんだったし」


5つ上の後藤さんが入社したのは、あたしがさほど偏差値の高くない高校の制服を着て、おしゃれや恋愛に浮かれてた時期。


その頃エリートの宝庫であるシス部にいて、既に頭角を現してた部長は、年齢的にも地位的にもあたしなんかが簡単に手を出せる男じゃないと改めて思い知らされる。
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