部長とあたしの10日間
「なんで部長にそんなこと言われなきゃいけないんですか。
あたしのこと、何も知らないくせに」


「…確かにそうだな。
俺は否定できる程、お前のことを知らない。
今の言葉が気に入らないのなら、外見だけじゃないところを見せてみろ。
それができたら、すぐにでも取り消すよ」


部長はそう言ってミーティングルームを出て行った。
一人残されたあたしは突っ立ったまま、にわかには信じがたいこの状況を反芻する。


一体何が起こったの?


小泉部長のあの憎たらしい顔が瞼の裏に焼き付いて離れない。


今まで散々利用してきた男という生き物に、あんなふうにバカにされたのは初めてだ。


あたしの闘志に火が点く。
いいわ。
あの女から和田さんを奪って、あたしの方がいい女だって証明してやろうじゃない。
そしてあの男に、あたしをバカにしたことを絶対に取り消させて、それでもって謝罪させてやるんだから。
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