部長とあたしの10日間
部長は男たちに向き直ると、


「それなら、その手を離してもらおうか」


あたしの腕を掴んで、そのまま強く抱き寄せた。


え?


突然部長に抱えられる形になってパニクる。
何この展開。


驚いて部長を見上げると、部長はさっきまでのすっとぼけた態度とは別人のような鋭い目で男たちを睨んでいる。


やばい。
悔しいけど、やっぱり格好いい。
さっき拒否されたばかりだと言うのに、性懲りもなくときめいてしまう。


「何だよ、本当に男連れかよ」


「つまんねーの」


陳腐な捨て台詞を吐きながら男が立ち去っていく間も、部長はあたしを抱きしめたまま。
頭が動かない。
部長の香りに頭がだんだん麻痺していく。


「ようやく諦めたかな…」


しばらくしたのち。
部長はそっとあたしの体を離すと、


「この様子だと今夜の飲み会も、うちの奴らに強引に連れて来られたってのも嘘じゃないようだな」


そう、溜め息混じりに言った。
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