忘れ去られたキオク

~嵐の前の静けさ~ エルネストside




近頃、椎菜の姿をめっきり見なくなった。



毎日、毎日12時になると鳴る鐘。



その鐘と同時に、大きな音をたてて扉が開かれることもなくなった。



椎菜がいないだけで静かで、少しだけ物足りない、そう思うようになった。



そんな俺の暇つぶしをしてくれるのが、俺の右手。



2日にいっぺんくらいの割合で、ぽわーっと光を放ち、この中継地に死んだヤツが来たことを教えてくれる。



暇つぶし、って言ったら不謹慎だけどもやることがない俺にとっては、天国への送りもいい暇つぶしになる。



そして、もう1つの暇つぶしは...。



「今日も暇だったから、来ちゃったわ」



同じく暇つぶしのためにやってくる、アイリス。




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