オオカミとお姫様
「…っ!?」
俺は詩音を抱きしめていた。
「何してんだよ。なんでこんなところにまで来るんだよ…」
一瞬逃げようと思った。
けど、俺の中にその選択肢はなくなっていた。
逃げたくない。そう思ったから。
詩音がこんなになってまで『好き』って伝えようとして…
最低な事ばっかしてきた俺の事、『好き』って…
「なんで…あんな最低な事したのに」
「それは…玲央のことが…好き、だからです」
詩音が言ったその言葉は、俺に深く突き刺さった。
まっすぐで偽りのない言葉に感じた。