アンラッキーなあたし
破れた新聞紙の間から、裏にそびえ立つオートロック式の最新マンションが見えた。

そこは分譲マンションで、最上階には住民専用の温泉が湧き、バーラウンジまであるのだとか。住人は間違いなく金持ちばかりだ。

なぜ、むこうを狙わない?ええ、泥棒さんよぉ?

が、すぐこう思い直す。

オートロック式で、管理人が二十四時間体制で常駐とくれば、いくらプロの泥棒さんといえど侵入が難しいだろう。そこへ忍び込むのは、まさに、ハイリスクハイリターン。

うん、それで、うちをね。納得。

だがしかし、納得している場合ではない。あたしは、一文無しになってしまったのだから。
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