アンラッキーなあたし
「さすが部長!博学ですなぁ」

ブタはぶひぶひ鼻を鳴らしながら(実際には鳴らしていないのだが)命を乞うハエのごとく手を擦り合わせ、この先知らなくても困らないであろうハゲの知識を褒めちぎった。

「でね、それが終わったら封筒に入れて、ここの住所に送って欲しいんだ。それから、この書類もまとめておくこと。あとは…、まず何より先にお茶入れてくれ」

次から次へと雑用を言いつける内田のハゲ頭をご来光に見立て、あたしは、そっと祈りを捧げた。

どうか、うっすらと残っているその頼りない産毛が明日の朝までに全て抜け落ちていますように…。

「ちょっと、あんた何ぼんやりしてるの?お茶だって言ってるだろう。ったく…」

内田のハゲは完全に目のいっちゃっていたであろうあたしを、さも薄気味悪そうに見上げた。

気味の悪いオヤジに気味悪がられる自分は、世界で一番かわいそうな女番付TOP50には確実に入る存在だろう。
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