アンラッキーなあたし
「弥生ちゃん、カバーかけるの手伝ってくださいよ」

「だめ!爪が乾いてないから」

ペディキュアじゃん!まったく、この子は…。

仕方なくあたしは一人でベッドメイキングを始めた。

なんであたしが千葉と弥生が眠るためのベッドを整えなくちゃならないんだ…。

「そこにあるのでお願いします」

弥生が指差した先にはピンクのヒョウ柄のカバー一式が畳まれていた。

ベッドメイキングが終わる頃、弥生のペディキュアも終了した。

「はぁ~、やっと完成!」

「こっちも完成です」

「ご苦労さま」

悪ぶれる風もなく弥生が微笑んだ。

きっと、この子は人に何かしてもらうことが当然の環境で育ったのだろう。小さな頃から可愛くて、ちやほやされて、愛されてきた。だから、悪気なんてない。少しくらいのことなら大目に見てもらえる。こんなにも屈託の無い笑顔ができる。

あたしも、そういう風に生まれたかった。

そうすれば、もっと明るくなれた?友達も恋人もたくさんできた?千葉にも愛されただろうか?
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