アンラッキーなあたし
ん?

その時、あたしの中でもつれて絡まっていた糸が、さらさらとほどけていくのを感じた。

千葉?ちば?ばーちー?

そういや、こいつが、あたしの犯行現場を目撃した、ただ一人の人間ではないですか?

つまり…。

犯人はお前だ!

備品を盗んだ犯人は自分だと言う事を棚にあげ、あたしは千葉をチクリ犯と断定し、にらみつけた。

「なあ、お茶、お茶だよ、お茶。聞いてるの?おい、桜庭、どうした目がいっちゃってるぞ?大丈夫か?お茶…」

「お茶お茶お茶お茶オチャー!ってうるせぇんだよ!あんたはブルースリーかってんだ!」

ついに、ぷっつんキレたあたしは心の中で思い切り叫んだ…。

はずが、つい、声に出して叫んでいた。社内は水を打ったようにしーんと静まり返り、みなの視線があたしへ集中した。
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