うらしまさんとあずみちゃん
吉備津彦の皇子さまが結婚することになりました。

「弓矢比売っていうお姫様なんだけど。かわいいよ」

皇子さまはうれしそうにのろけてますね。

「へえ! 見てみたい」

あずみは小さい子供のようにはしゃぎます。

「あずみはしょうがないな。ほんとうに結婚するんですね。おめでとう皇子さま」

島子もひかえめにお祝いを言いました。

「うん、ありがとう。結婚式、おまえらも呼んでやりたいんだけどさ、無理なんだ。ごめんな」

親族や貴族だけがお祝いの席に出席するので、貴族ではない島子やあずみがでることはできません。

「いいんですよ。ぼくたちは陰でお祈りしてますから、皇子さまとお姫様のこと」

「あ、ありがとな。島子ならそういってくれると思ってた。友だちだものな」

皇子さまは鼻をこすりながら泣いていました。


 
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