君に逢いたくて~最後の手紙~

裏切り

病院に行った日から1週間が経ち、
8月に入った。



でもまだ、隼人に伝えられずにいる。



隼人んちに行った日以来、
隼人とは会っていない。



そんなある日、
美夏が家にやって来た。




「梨衣奈さ、隼人君にまだ言って
ないでしょ?」



今は美夏と私の部屋にいる。



「うん」



「早く言った方がいいと思うな」



分かってる。



分かってるけど…



「なんか、怖いんだ…」



美夏は微笑みながら言った。



「分かるよ。その気持ち。
でもね、大丈夫だから。ね?」



そうかな…?



最初はそう思ったけど、
美夏の力強い目を見て私は今日、
隼人に伝えに行くことに決めた。



「分かった。言ってくるよ」



「うん。いってらっしゃい!
ここで待ってるからね」


美夏のその言葉を聞いて、
私は自分の家を出た。
< 131 / 209 >

この作品をシェア

pagetop