君に逢いたくて~最後の手紙~
5章

優斗の真実

「俺……おれ…」



「ゆっくりでいいよ」



私がそう言うと、優斗は
うなずいて深呼吸をした。



そしてまた話しだした。



「俺、実は小学校卒業したあと、具合が
悪くなって…。病院に行ったんだ」



「うん…」



「そこで初めて……自分の胃が、
ガンに侵されていることを知った」



え…?


胃ガン?



「で、その病院で治療もできたけど、
俺は断った。…梨衣奈に、俺の…
醜い姿を見せたくなかったから…。


だから俺は、中学入学までに、
治療に専念できる場所に…
梨衣奈には何も言わずに引っ越した。



梨衣奈に言ったら、絶対に反対
されると思ったから…。



でも辛かった…。


梨衣奈に会えないことが、
辛くて辛くてたまらなかった。


俺は胃ガンのせいで何も
食べられなくなり、抗がん剤治療のせいで
髪の毛は全部抜け落ちた。



そのときの俺は、
ずっと…死にたいと思っていた。



でもそんな俺を支えてくれたのは、
9年前にした、梨衣奈との約束だった」


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