K・K・K
The Pound Band
車窓から差し込む朝の陽ざしに照らされて、ケンジの茶色い髪は、キラキラと所々光って見えた。

今朝もケンジはいつもの電車に揺られていた。
(週明けの学校はダルいな。)

そう思いながらも、ちゃんと学校に向かっているのは、友達がいるからだ。

行ってしまえば、それなりに楽しいのである。

(そう言えば、あの娘、あれから電車で会わないな。)

スラッとしていて、瞳の大きな彼女。

(さけられてるのかな。)

ケンジは満員でぎゅうぎゅう詰めになった電車の中で、携帯をいじりながら考えていた。

(ちょっとキツすぎたかな。)

ケンジはケンジなりに香にとった態度を反省していた。
とは言っても、自分が言った事は正論だと自分を慰めもした。


(あの娘はこの電車には乗らないのかな?電車で会ったのはあの一回だけだったし。)

いくら考えても答えのない迷路に迷い込んでいた。


プシュ~ッ。

電車が止まり、扉が開いた。

ケンジは押されるようにホームに出た。

(考えても仕方ないか。どうせ、また公園で会うだろうし。)


ケンジはKの文字のストラップをおしりのポケットから垂らして、ホームの階段を降りて行った。


*****************

「おはよう。」
ケンジの後ろから声をかけたのは、ケンジと同じくらい長身のシンだ。

「おう!お前か。」

「お前かとは何だぁ?朝からそっけないな~、ケンジくぅ~ん。」
シンはケンジの肩に手をかけて言った。

「気持ちわりぃ~な、離れろ。」
ケンジは手を祓った。


「お~コワッ。」
シンはケンジの手を避けてニヤニヤと笑った。

「お前さ、顔がいいのにその素っ気なさが女子にモテない原因だと思うぜ。」
シンのにやけた顔は見なくても分かった。

「大きなお世話だ。」
ケンジは相変わらず素っ気なく答えた。

「いらないならその顔くれよ。」

シンの意味のない言葉を無視して、ケンジは校内に入って行った。


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