明日、あなたが目覚めたら

▷出会った、あの日

◇◇



ふわふわ、きらきら。

あたたかな光をあびながら、桜の花びらたちがゆっくりゆっくりと舞い落ちる。


もう、そんな季節なんだ。


ーー春。

私の好きな季節。




中学2年生になってから、数週間。


学年が上がるごとにつれて、フロアがひとつずつ下がっていく仕組みになっているこの学校。


教室から見る景色は去年より少し低くなっていて、学年がひとつ上がったのだと少しだけ実感できた。


それに、ついこの間まで私たちが使っていた4階へと上がっていく新入生を見るとなんだか新鮮だ。




ガヤガヤと騒がしいお昼休み。

教室の窓際から、私、藤江 千沙 (ふじえ ちさ)は外をボーッと眺めていた。



「千沙ーっ‼」



すると、大きな声を出して私に飛びついてきたのは幼なじみの中園 友梨(なかぞの ゆり)だった。



「聞いてよ!
大西くんが女の子と仲よさげに話してたの……!」



私は友梨をべリッと離し淡々と答える。



「あーそうですか。ドンマイ」


「千沙、棒読みなんだけど!」



大西くんというのは、友梨の最近できた彼氏のこと。


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