明日、あなたが目覚めたら

▷消し去られた、記憶

◇◇




「……電話が、3件」



ベッドに仰向けになりながら、スマホの着信履歴をぼうっと見つめる。



「まぶし……」



スマホを置いて、窓から射し込んでくる光に目を細める。

だけど、そんなに暑くはなくて。


夏の朝は、そこまで嫌いじゃない。




「はあ……」



着信はすべて、昨日の夜にかかってきたもの。

……智のお母さんから。



出れなかったわけでも、気づかなかったわけでもない。


ただ、怖くて。
知らないふりをしただけ。



でも、いつまでも出ないわけにないかないよね……。


次に、電話がきたら。

次にまた智のお母さんから電話がかかってきたら、そのときはちゃんと出よう。



「はあ……、今日が日曜日でよかった」



もし学校なんかあったりしたら、きっと私はお休みだっただろうな。


だって、昨日の今日で、なにもなかったかのように学校へ行くなんて……そんなの無理にきまってる。


あいにく私は、そんな強じんなメンタルを持ち合わせていないんだ。


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