ライラックをあなたに…


1人納得出来ずにいると、


「頼りないかもしれないけど、何でも相談してよ」


一颯くんは再び優しい表情で頭を撫でた。

その手の温もりが心地良くて……。


「………うん」


私は素直に返事をしていた。



彼といると調子が狂うけど、でもそれ以上に心地いい。

優しく包み込まれるみたいな感覚に陥ってしまう。


失恋したばかりだというのに……。

男は懲り懲りだと思っていたのに……。


彼の纏う雰囲気がそれさえも包み込んでくれている気がした。



「一颯くん」

「ん?」

「さっきの、付き合うって?」


彼の発言を聞き逃す筈が無い。

私をからかうものだとしても、きっと他に理由があるに違いない。


だって、今まで、全ての言動にちゃんとした理由があるのだから。



私は今度こそ惑わされまいと気を引き締め、彼をじっと見据えた。

すると、


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