心さん、そろそろ俺にしませんか?



「とりあえずえ!?って驚いた。それから1週間、悩みに悩んだな。クマもすっげー出来るくらい!」


「あ~!お前すっげぇ顔色悪い時あったな」


「おう、多分その時だ!」


俺の知らない時間を西川先輩は知っている。そのことに少しだけ……イラッとしたりして。


「それで、部員達を観察して、あたしが部長になったら、コイツをどう変えられるかとから、何を伝えられるかとかいっぱい悩んだんだ。それで、意思が固まったんだ。あぁ、あたしは部長じゃないなって」


心さんは遠くを見つめてそのまま話し続けた。


「あたしは先頭に立ちたいんじゃない、背中を押す役目をしたいって。そりゃ、考え方を変えたら、せっかくのチャンスを無駄にしたとか、部長って立場から逃げたように思うかもしれないけどな?」


へへへっと笑って、足下にあった石ころを蹴った心さん。


「でも、あたしのことじゃん?あたしは自分で決めたことを信じて進んだだけだ!だから、サワが部長になった時、後悔なんてなくて心から喜べた。あたしは、西川と違うチャンスを掴んだんだよな、きっと!」


心さんがそう言って俺を見た。



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