心さん、そろそろ俺にしませんか?
見守ってくれたのはあなたでした。



それからの学校生活は、イチとギクシャクしていて、陸達からも不思議がられた。


「やぁっ!」


そして、今日は剣道の試合。久しぶりの試合は楽しみだったが、心の中に何かやり切れない気持ちがあった。


「うしっ、お疲れ!」


キャプテンが片手を差し出し、一礼してタッチを交わした。


この大会で負けたら先輩達の時間は終わる。進路に集中しないといけない時期なのだ。先輩達は、勉強したくないから勝ち上がるぞ!って張り切ってた。


「お前、負けたらただじゃおかねぇ」


と、佐原先輩にも言葉の圧力をかけられたから、負けるわけにもいかないけど。


結果は、団体も個人部門も地区大会を勝ち上がって県大会出場を決めた。俺は個人部門のみの出場だ。


「俺のキャプテンの役目は剣道部が負けるまでだ。俺にキャプテンでいて欲しければ、全国まで行くぞ!」


キャプテンの冗談混じりの本音も、もうすぐ聞けなくなる。そして、俺の出番が来るんだ。


隣に白橋はいるものの、イチは離れた場所にいる。会話はするものの、あまり関わりを持たないようになっていた。


いつもうるさい奴が、離れてしまった。



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