【短】卒業~ずっとキミが好きでした。~




その日から隣の席だった柏木は、毎日私にたくさん話しかけてくれた。



「あー、やべっ!今日、国語の教科書忘れちゃった。一緒に見せてくれない?」



よく教科書を忘れてくる柏木。


そのたびに、柏木は私の机に自分の机をピタッとくっつけて、その真ん中に教科書を置いて一緒に見ていた。


しかも、私の教科書だっていうのに、勝手に教科書の隅に棒人間のパラパラ漫画なんて書いてくれちゃったりして。


「もーぉ、勝手に書かないでよ」


一応、口ではそう言ってはみても、そのパラパラ漫画はよく書けていて、なんだか消すのが勿体なくてそのままにしていた。


そのうち、柏木は教科書を忘れない日でも、常に私の机にピッタリと自分の机をくっつけるようになった。


そのことに気付いた同じクラスの男子たちがからかってきたりしたけど、柏木が机を離すことはなかった。


私は、その理由を“人懐っこいだけ”と、深く気にしないようにしていたけど。


本当は、柏木が机をくっつけてくれていることがすごくすごく嬉しかったの。


だって私は、この時既に柏木のことが気になり始めていたから……。





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