贖銅(ぞくどう)の刑
二枚の写真
「…もっ、もしもし?

ほ、本当は今日戻ろうと思っていたけれど、やっぱり、とっ、当分戻らないから。

この、嘘つき!

…私は、私は一番身近な肉親にさえ、大切な事を隠されて育ってきたんだ!

何もかもが、信じられないよっ!」

次の日の朝、千歳は母親に電話を入れていた。

ただし、母親の実家から少し離れた所にある、神社の境内で。

母親の祐子は聞き返した。

「い、いきなり何を…

昨晩、家に帰るって言ったと思えば…」

「少なくとも、あんたは私に、二つの嘘をついていた!

…何が、離婚して私には父親がいないよ!

あんた、最初から未婚の母親なんじゃないの!

あんたと赤ん坊の私、おじいちゃん、おばあちゃんの写っている写真立て、違和感があったから、写真を外してみたら、写真が二枚重ねで入っていた。

そこには、私の知らない二つの事実が隠されていた!

…まずは上側になっていた、あんたと赤ん坊の私、おじいちゃん、おばあちゃんの写った写真。

これについて…」
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