。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



―――…トン


台所の冷蔵庫から持ち出してきたビールをテーブルに置くと、戒はすぐにその缶のプルトップを開けた。


「…きょ…キョウスケから何か聞いた…?


リコのこととか…」


何から聞けばいいのか分からず、でも結局ストレートに言葉が口を出た。


「聞いた……」


戒は缶に口を付けたまま大きな目だけを上にあげる。


「か、賭けはお前の勝ちだよ」


負けを認めたくなかったけど、でも


戒は自分が勝ったこと知っててわざと負けたフリした。


キョウスケのことを考えて―――


そんな軽々しい問題じゃないって言われた気がして、実際リコのあの落ち込みようを見て自分だってそう思った。







「俺の負けだよ。


そうしといてよ」





トン


戒はビールの缶をテーブルに置いてあたしの首の後ろに手を回すと、


ぐいっと引き寄せた。


すぐ間近に迫った戒は長い睫を伏せて小さく笑みを浮かべ、小さく囁いた。




「お前も川上から聞いたんだろ?



響輔のこと…責めないでやってくれよな。




あいつなりに精一杯考えての―――結果だ」







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