。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「あら……あらあらあら!昨日はどうもぉ」
「あ、はい!こちらこそ」
あたしは慌てて頭を下げて、ちらりと目だけを上げた。
「知り合いだったんですか、姐さん」
鴇田が聞いて、
「道に迷ったときに親切に教えてくれはったんです。えーっと…あなたは…」
和服美人が部屋の中のメンバーを見比べ、
叔父貴がソファの後ろからあたしの肩を両手を置いた。
「紹介がまだでしたね。
俺の姪で朔羅です。
朔羅、こっちは弓枝姐さん。知っての通りキョウスケの母君だ」
「龍崎はんの、姪御さん?
ほな…戒くんの―――婚約者……」
弓枝姐さんは変な風に表情を固まらせて、戒とあたしを交互に見やる。
だ、だから言い出しにくいってのもあったんだよ。
戒はあたしの前に、キョウスケの妹との縁談話が持ち上がってたし、キョウスケママからしたら面白くないだろう。
スカートをぎゅっと握ってうつむいてると
「お夕飯までまだ時間があるでしょう?女性陣は支度があるから、あなたたち違うお部屋で待機していて」
キリさんが手を叩いて、あたしたち三人と叔父貴、鴇田を部屋の外へ追い出した。