。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



チャラホストのせいで戒の行方を見失ったかと思いきや、戒はまだおねーさんたちに捕まったままだ。


きれーでエロいおねーさんたちに囲まれて、鼻の下伸ばしていると思いきや…


戒は何やら真剣な顔で道路の奥を指差して目配せ。


道を聞いているように思えて、おねーさんも身振り手振りで何かを説明している。


「ありがとうございました。助かりました」


戒が小さく礼を述べて、


「いいのよ~、ねぇボクぅ、今度はうちに来てね♪」


としっかり誘われていたが、戒は軽く手を挙げただけでまたすぐ歩き出した。


「キョウスケ、行くぞっ」


あたしがキョウスケの腕を引っ張ったときだった。


「ねぇ君~」


またも男の声を聞いて振り返ったが、ホストは今度はあたしじゃなくキョウスケの方をじろじろ。


「君、イイね!君のルックスならうちのナンバー1になれるよ!」


キョウスケにホストのスカウト!?


「いえ、俺、興味ないんで」


キョウスケはホストの言葉を無視して歩き出そうとしたが、


「待って!君なら月、札束立つぐらい稼げるよ!」


札束立つって…100万!?


「やります」


キョウスケ!?即答かよ!


「おめぇ何答えてんだよ!行くぞっっ!」


あたしはキョウスケの腕を引っ張って力ずくで歩き出した。


な、何て(色んな意味で)危険な地帯!?


早く用を済まして帰りたい!!


と思ってる矢先…


戒の足はあるビルの一角で止まった。


バーのような看板が出ていて入り口は派手な装飾がごてごて飾ってある。


でも定休日なのだろうか、ネオンは光っていない。


戒は店を確認すると迷いなく裏口に回った。


あたしらも続く。


裏口は表通りとは違ってひっそりと静まり返っている。


まるでカードをひっくり返したような表と裏の違いを見て、ちょっとびっくり。


薄汚い灰色のビルに簡素な作りの扉があり、その扉の前で戒は小さなナイフを取り出した。



な、何するつもりだろ……






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