。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。

*鴇田Side*






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―* 鴇田Side *―



ガシャン!


バタン!!



「くそっ!」


お嬢と白虎のガキどもが出ていってから、会長は先ほどから部屋の物を破壊して回っている。






「くそっ…くそっ!くそっっっ――――――!!」





雄叫びに近い吼え声を挙げて、キッチンテーブルの上に置かれていたガラスボウルや数種類のグラスを手でなぎ払い、音を立ててガラスが割れる。


俺は止めることもせず、好きにさせておいた。


ただ彼の暴走を見守るだけ。


彼がこんな風に乱れるのははじめてじゃない。


こうゆうときは黙って好きにさせておくのが一番だ。


ただ…調度品や小物を壊した弁償額がいくらかかかるが、まぁそんなの会長の苦しみや悲しみに比べたら大した額じゃないな。


もし彼の苦しみを金で買い取れるのなら、俺はいくらでも金を積む。


一通り暴れて、壊すものが無いと気づいたのかやがて彼はため息をついてシンクの壁に寄りかかりながら床に腰を下ろした。


「お気が済みましたか?あまり暴れるとお体に触ります」


俺は彼の元にかがみこみ、両腕を掴んで立たせようとすると


「お前は……」


会長は自嘲じみた笑顔を浮かべて俺の手を払った。


『お前は……』の先が聞きたかったが、会長はその言葉を飲み込み、


前髪を乱暴に掻き揚げ、自ら立ち上がろうとしたが途中でよろけて俺は慌てて彼を支えた。





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