裏切りの恋
 
「それじゃあ、改めまして……
 城崎さんの歓迎に……かんぱーい!」
「「「かんぱーい!!」」」


その日の夜は、彼がうちの店舗に来たことへの歓迎会となった。

彼の周りには、ここぞとばかりにうちの店の女の子が群がっている。
あたしはそんな様子を、隣のテーブルからちらりと見ていた。


「やーっぱり、城崎さん、人気者ですねー」


あたしの前には、戦いに入れないエミちゃんが嘆いている。


「エミちゃんも、あっちに混ざってくればいいのに」
「無理ですよー!あたしなんか下っ端が、あんなところに入ったら、先輩方々に睨まれちゃう!あたしはまだまだ、このお店でやっていきたいんですから」
「ふふ、そっか」


可愛いこと言うなー、と思いながら、あたしは笑った。


確かに彼は、本当にイケメンだ。

短すぎない黒髪に、180cm近くある高身長。
切れ長の二重に、通った鼻筋。
「イケメン」という言葉は、彼のためにあると思ってしまう。

年も24歳なのにそれよりも大人の雰囲気をかもしだしていて、誠実な優しさで溢れていた。


そりゃ、みんながっつくわけだな…。
 
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