裏切りの恋
「明……
俺はこの先もずっとお前とダチをやっていたいと思ってる……」
「……なーに、都合のいいこと言ってんだよ」
明はそれには答えず、裕翔に背を向けた。
「ほら、もう帰れよ。
さすがにまだお前ら二人がいちゃついてるとこ見るの辛いから。
夕菜、立ち上がらせてやれ」
明に言われて、あたしは裕翔のもとへ駆け寄る。
そっと支えてあげると、裕翔は「いてっ…」と小さく声をあげながら立ち上がった。
「あと、夕菜。鍵」
「あ………うん…」
あたしは鞄からキーケースを取り出す。
そこにかかっている一つの鍵。
4年近くかけられている明の部屋の合鍵だった。
あたしは静かにそれを抜き取ると、明に差し出した。
「今まで……ありがとう」
「……ん」
一言だけ頷いて、鍵を受け取る明。
そしてまたすぐに背中を向けた。