裏切りの恋
 
「絶対に許さない。
 あたしから裕翔を奪った人……。
 ……絶対に……」

「……」


そう言った香織さんは、普段からは想像つかないほどの恐ろしい顔だった。


この人は…
裕翔の為だったら、なんでもしてしまうだろう……。


「夕菜ちゃん。気を付けてね」

「え……?」




「人のものを奪ったら、必ず罰がくるってことを」




分かってしまった。

気づいてしまった。



香織さんは、最初から

あたしと裕翔の関係に気づいていると……。



「じゃあ、あたしは帰るね」



そしてにこっと微笑むと、
席を立ち上がって店を出て行った。
 
< 287 / 357 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop