裏切りの恋
 
「階段から落ちることなんて……
 香織さんの痛みに比べたら、全然どうってことないです」

「何言って……」

「この気持ちを持つことを許されるなら、あたしはどんな罰だって受ける」

「ちょ……」


あたしは香織さんの手を振り払った。


「ごめんなさい。
 あたしもこの気持ちだけは譲れない……」


そしてニコッと笑いかける。





「あたし……裕翔が好きです」






次に襲ったのは、体全体に響く衝撃。

あたしは、自ら階段から落ちた。



「夕菜っ!!!」



薄れゆく意識の中で、

最愛の人の声が聞こえた。
 
< 299 / 357 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop