裏切りの恋
 
「あたしも本能だよ」


あたしは裕翔の手を取ると、そっと自分の頬に重ねた。


「裕翔を初めて見た瞬間、自分の中で何かが弾けた気がした。
 だからこそ、裕翔に必要以上近づいちゃいけないと思った。
 それなのに……あの日、あたしを誘っちゃうから……」


歓迎会の夜。
もしあの日、お店の前で裕翔に会うことがなかったら……。


「本能で感じたんなら、逃げらんねぇよ」
「ンッ……」


裕翔は、あたしに口づけた。


それは、明とは違うキス。
もっと激しくて、もっと強引で、まるで獣に噛みつかれているよう…。


あたしたちは、まるで動物のように求めあった。
 
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