裏切りの恋
 
「二人が驚くのも無理ないよなー。
 なんたって事情を知っているのは俺一人だし」


何も知らない明は一人、
無邪気な笑顔で笑っている。


「とりあえずヒロ、座れって」
「……ああ」
「夕菜はこっちに来て」
「……うん」


明に促されながら、真正面に座っていた場所をどき、明の隣に座った。
そしてあたしが座っていた場所に、裕翔が座る。


あたしと裕翔は、向かい合わせで座る形となった。


「この前ヒロから勤務先が異動になったって聞いてさ。
 店舗の名前聞いたら、夕菜の店じゃん!って
 だから今日は、驚かせてやろうと思って、サプライズで俺がセッティングしたんだ」

「そう……なんだ…」

「驚き?」

「う、うん……」


ほんと……
心臓が飛び出そうなくらい、驚いてるよ……。
 
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