紅炎と雷炎 ①


美樹「…あたしは、思わなかった。 だって、翔、今、幸せでしょ?」


しあ、わ、せ…?


そりゃ、幸せだ。


翔「うん」


美樹「だったら、可哀想だの、辛かったね、だのじゃなく、良かったね。 じゃない?」


美樹は凄い。


こんな簡単な言葉なのに…


誰でも、簡単に言える言葉で…


翔「……うん」


泣かされそうになってる。


今まで、どんなに嫌なことをされても、どんなに殴られても、雷炎にこの話をしても…。


泣いたことなんて、なかったのに。


俺は、泣きそうなため、顔を見られないため、俯いた。


そうしていたら、


美樹「…翔」


美樹に呼ばれた。


翔「…何?」


今、喋ると泣いてしまいそうだ。


美樹は、そんな俺を見透かしているかのように…
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