抹茶モンブラン
 高田さんとの距離は私の方から離すようにしていて、いろいろ誘ってはくれるけれど、理由をつけて断っていた。
 彼は2度も3度も同じ誘いをするような事は無かったし、光一さんとうまくいかずに落ち込んでいる様子も察知してくれていた。
 だから、高田さんの心遣いには感謝していて。
 逆に彼の好意をことごとく拒絶している感じがして、申し訳ないなと思ったりした。

「僕の事は全く気にしないで。いくら断られてもこっちが傷つくなんて事は考えなくていいですからね」

 そう言ってくれて、私も素直にお礼だけは伝えている。
 まさか彼の部屋に泊まった事で光一さんが狂ったように嫉妬したなんて事は言えない。
 私はあの日の事をうまく嘘をつくべきだったのかしら。
 全てを告白して欲しいと言われ、その通りに答えた。
 何もなかったのは事実だし、正直に話した方が変な誤解を生まずに済むと思った。
 でも本当は、秘密にする苦しみに耐えるより話してしまう方が私にとって楽だったからなのかな……と振り返ったりする。

 光一さんのギリギリな精神状態を見れば、もっと私は気を使うべきだったのかもしれない。
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